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最高裁判所第一小法廷 平成元年(あ)1374号 決定 1990年6月28日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人組村真平の上告趣意は、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

なお、所論にかんがみ、職権により検討する。原判決の認定によれば、被告人浦上伸は、ソ連警備艇及び海上保安庁の巡視艇の出動状況等を探知し、その追尾を高速で振り切るために船体に無線機、レーダー及び高出力の船外機等を装備した特攻船と呼ばれる本件各漁船二隻を使用し、共犯者らを乗り組ませるなどして、固定式刺し網により花咲がに等を採捕し、不法にかに固定式刺し網漁業を営んだものであるというのであるから、北海道海面漁業調整規則五五条二項本文により右各船舶船体、無線機、レーダー及び船外機等をその所有者である同被告人から没収することは、所論の指摘する右船舶船体等の転用可能性及び価額等を考慮しても、相当であるというべきである。そうすると、これと同旨の原判決の判断は正当である。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 四ツ谷巖 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 大堀誠一 裁判官 橋元四郎平)

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